埼玉県皮膚科医会

文字の大きさ

紫斑 - 内臓の異常が見つかることも

紫斑
内臓の異常が見つかることも

春日部ヒフ科医院院長 矢島 純先生

 

紫斑とは?

「紫斑」は出血によって皮膚組織中に生じる紫色の斑点(出血斑)のことで、よく似た症状に、(毛細)血管が拡張したり増加したりして赤く見える「紅斑」があります。どちらも赤くみえますが、見分けるためには指で押してみます。すると、「紅斑」では、押された部分の血管がつぶされて血液成分が血管内を移動し赤みが消えますが、「紫斑」では、押されても血管から漏れ出た血液成分の行き場がないため、赤みは赤みとして残り、色の変化が認められません。

「紫斑」は大事なサイン

「紫斑」で注意する点は、脳出血、消化管出血、腎糸球体出血など、全身性に生じている出血の一皮膚症状としてみられる場合です。別の言い方をすると、皮膚・粘膜の一部に出た「紫斑」という大事なサインを見逃さず、その裏に隠された原因を知り、注意することで、生命の危険を回避できることがあるのです。
ワーファリンなどの抗凝血剤を服用中に「紫斑」が生じる場合は、起こりうる可能性に注意しながら、下血(消化管出血)などの症状があれば、速やかに主治医と相談する必要があります。

紫斑の種類—こんなときは皮膚科へ

「紫斑病」(皮膚および粘膜に点状・斑状の出血を起こす病気)の主なものを表に示します。それには、機械的紫斑、老人性紫斑、慢性色素性紫斑のように、皮膚症状だけで生命的予後の良いものもある一方、アナフィラクトイド紫斑のように、発見が遅れると腎障害などを併発し重症化するものまであります。
ですから、「紫斑」をみた時には、皮膚科を専門とする医師に診察を受ける必要があります。

紫斑病の種類

原因                             病名
A  血小板減少による                   特発性血小板減少性紫斑
B  血管の異常による
1.血管内圧亢進による               機械的紫斑
2.支持組織脆弱による
1) 老化による                     老人性紫斑
2) ステロイドによる                 ステロイド紫斑
3) ビタミンCの欠乏による             壊血病
3.血漿タンパク異常による            クリオグロブリン血症
4.血管の壊死による               アナフィラクトイド紫斑
5.先天性血管および結合組織異常   エーラス-ダンロス症候群
C  凝固因子異常によるもの
1.凝固因子の欠如による 先天的             血友病
2.凝固系活性化による  後天的      播種性血管内凝固(DIC)症候群
D    原因不明
1.全身症状なし                   慢性色素性紫斑
2.紫斑 以外の症状・所見を欠く        単純性紫斑

他の記事

  • あざ  - ぜひ専門医をお訪ねください (埼玉病院・中捨克輝)
  • アトピー性皮膚炎  - 適切な治療でよい状態を保ちましょう (埼玉医大・中村晃一郎)
  • 異汗性湿疹  - 「ニセ水虫」にご注意 (仲皮フ科・仲 弥)
  • いぼ  - 放置すると増えます。早めに治しましょう (さくら皮フ科・横井 清)
  • うおのめ  - 頑固なうおのめは合わない靴が原因? (井上皮フ科・井上 靖)
  • 疥癬(かいせん)  - 激しい痒み。ヒトから感染したダニが原因かも・・ (埼玉医大・寺木祐一)
  • 円形脱毛症  - 根気強い治療で発毛を待ちましょう (獨協医大・片桐一元)
  • 陥入爪・巻爪・ひょう疽  - 爪の切りすぎに注意 (スマイル皮膚科・倉片長門)
  • かぶれ  - 皮膚科で原因を見つけるのが早道 (中井皮膚科・小森一哉)
  • 金属アレルギー  - アクセサリーを安全に着けるには(済生会川口総合病院・高山かおる)
  • 乾癬  - 新しい治療法もあります (埼玉医大・土田哲也)
  • 乾燥肌  - みずみずしい素肌を保つには (島田医院・坪井るみ子)
  • ケロイド  - 傷あとが盛り上がっていませんか (大島皮ふ科・形成外科・大島康成)
  • 毛虫皮膚炎  - ツバキやサザンカに触れませんでしたか (埼玉医大・寺木祐一)
  • 口唇炎・口角炎  - いろいろな原因で起こります (奥野皮膚科・奥野哲朗)
  • しいたけ皮膚炎  - 夏のバーベキューにご注意 (自治医大・出光俊郎)
  • 紫斑  - 内臓の異常が見つかることも (春日部ヒフ科・矢島 純)
  • しみ  - しみにもいろいろあります (多恵皮ふ科・井上多恵)
  • 湿疹  - 皮膚科医はこんなことを考えて治療しています (獨協医大・片桐一元)
  • 食物アレルギー  - スキンケアでアレルギーを予防する (自治医大・梅本尚可)
  • しもやけ  - 手足が赤紫色に・・、それはしもやけです (神崎皮フ科・神崎俊一)
  • 蕁麻疹(じんましん)  - あとかたもなく消える、かゆいボツボツ (あきもと皮フ科クリニック・秋元幸子)
  • 掌蹠膿疱症  - 手足に黄色いブツブツを繰り返します(さいたま市立病院・齋藤 京)
  • 水痘  - 抗ウィルス薬の内服で軽く済みます (大城胃腸科外科・大城晶子)
  • 多汗症  - 手の汗で困っていませんか? (防衛医大・佐藤貴浩)
  • 多形滲出性紅斑  - 重症の場合は生命に関わることも (本町診療所・伊崎誠一)
  • 皮膚がん  - 皮膚がんにもいろいろあります (埼玉医大・山本明史)
  • なめまわし皮膚炎  - 皮膚の保湿が大切です (埼玉医大・人見勝博)
  • 帯状疱疹  - 早い治療が重要です(永井皮膚科・永井 寛)
  • 単純ヘルペス  - 抗ウィルス内服薬が有効です (石塚医院・石塚敦子)
  • 爪水虫  - 頑固な爪水虫も内服治療で治ります (田沼皮膚科・田沼弘之)
  • 爪の病気  - 爪の色の変化が出てきたら専門医への受診を(埼玉医大・中村泰大)
  • 手足口病  - わかりやすい皮膚病 (自治医大・出光俊郎)
  • デルマドローム  - 皮膚は内臓の鏡です (本町診療所・伊崎誠一)
  • 床ずれ  - 在宅診療もしています (おうえんポリ・並里まさ子)
  • とびひ  - うつってひろがります。早めに皮膚科へ (今泉皮ふ科・今泉俊資)
  • ニキビ  - 素人療法をしていませんか? (埼玉医大・寺木祐一)
  • 白斑  - 根気強い治療で改善が望めます (町野皮ふ科・町野 哲)
  • 皮脂欠乏性湿疹  - 冬のかさかさの対処法は? (本町診療所・伊崎誠一)
  • 皮膚カンジダ症  - 病気が潜んでいませんか? (加藤卓朗)
  • フケ症  - 脂漏性皮膚炎はありふれた病気です (仲皮フ科・仲 弥)
  • 風疹  - 流行していますので妊婦さんは注意! (防衛医大・藤本典宏)
  • 粉瘤・脂肪腫  - 「脂肪のかたまり」ってよく呼ばれますけど実は… (松本皮膚科形成外科・松本吉郎)
  • ほくろ・メラノーマ  - ほくろのガンに注意 (さいたま市立・齋藤 京)
  • みずいぼ  - うつる病気です。早めに摘除しましょう (長村皮膚科・長村洋三)
  • 水虫  - 素人療法はけがのモト (仲皮フ科・仲 弥)
  • 虫さされ  - ボリボリ掻いていませんか? (いしだ皮フ科・石田 卓)
  • やけど  - 素人療法は禁物。皮膚科での早い対応を (多恵皮ふ科・井上多恵)
  • 薬疹  - 疑わしい薬を早く中止することが重要 (みどり皮ふ科・佐藤良博)
  • 毛孔性苔癬  - 上腕がザラザラしていませんか (防衛医大学・多島新吾)
  • りんご病(伝染性紅斑)  - 大人のリンゴ病はリウマチと間違われることも (埼玉医大・寺木祐一)
  • 老人性いぼ・稗粒腫  - 気になるようなら摘除します (久保皮膚科・久保和夫)
このページのトップへ