埼玉県皮膚科医会

文字の大きさ

異汗性湿疹 - 「ニセ水虫」にご注意

異汗性湿疹
「ニセ水虫」にご注意

仲皮フ科クリニック院長 仲 弥先生

 

 

 

「足の皮がむける」「足がかゆい」から水虫と思ったら大間違い

水虫だと思って皮膚科を受診する患者さんの2~3人に1人は水虫ではない別の病気だといわれています。足の裏に「皮がむける」「痒い」「水疱」などの症状があると、みなさん「水虫かな?」と思うようです。でも、このような症状をきたす病気は実は水虫以外にもたくさんあるのです。中でも、一番よく見かけるのが異汗性湿疹です。

異汗性湿疹はどんな病気?

異汗性湿疹は手足に汗をかきやすい体質の人に多くみられます。季節の変わり目などに手のひらや足の裏、指趾側面に直径1~2mmの小水疱が多発し、薄く円く襟飾り状に皮がむける「汗疱」で始まり、再発を繰り返します。無症状のこともありますが、赤くなって痒みを伴う場合や大きな水疱がむけてビランとなり、むしろ痛くなることもあります。

 

異汗性湿疹

異汗性湿疹

 

異汗性湿疹と水虫は専門家でも見分けられない

この湿疹は水虫と同様ありふれた病気で、痒みや水疱、皮がむけるなど水虫とそっくりの症状を示すことが多く、再発を繰り返すうちに足の裏の角質が厚く硬くなることもあります。ですから、「ニセ水虫」の代表とされ、専門医でも目で見ただけでは両者を見分けるのが難しく、その診断には顕微鏡検査が欠かせません。

 

異汗性湿疹ができやすい人は水虫にもなりやすい

また、やっかいなことに異汗性湿疹の人は足の指の間が常に汗で湿っており、水虫にもなりやすいのです。ですから、この異汗性湿疹と水虫が合併しているケースや両者が交互に症状をあらわす場合も多く、このために水虫の診断と治療が難しいともいわれています。

 

こんなときは皮膚科へー皮膚科ではこんな治療をしています

異汗性湿疹の治療は、皮がむけているだけなら保湿剤、赤くなり痒みや痛みを伴う時にはステロイド軟膏を外用します。また痒みが強い場合には抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤を内服します。

いずれにしても、「急がば回れ」で、足に症状があり、「水虫かな?」と思ったら、自分で生兵法をせずに、まず皮膚科専門医を受診し、正しい診断のもとに的確な治療を受けることが重要です。

他の記事

  • あざ  - ぜひ専門医をお訪ねください (埼玉病院・中捨克輝)
  • アトピー性皮膚炎  - 適切な治療でよい状態を保ちましょう (埼玉医大・中村晃一郎)
  • 異汗性湿疹  - 「ニセ水虫」にご注意 (仲皮フ科・仲 弥)
  • いぼ  - 放置すると増えます。早めに治しましょう (さくら皮フ科・横井 清)
  • うおのめ  - 頑固なうおのめは合わない靴が原因? (井上皮フ科・井上 靖)
  • 疥癬(かいせん)  - 激しい痒み。ヒトから感染したダニが原因かも・・ (埼玉医大・寺木祐一)
  • 円形脱毛症  - 根気強い治療で発毛を待ちましょう (獨協医大・片桐一元)
  • 陥入爪・巻爪・ひょう疽  - 爪の切りすぎに注意 (スマイル皮膚科・倉片長門)
  • かぶれ  - 皮膚科で原因を見つけるのが早道 (中井皮膚科・小森一哉)
  • 金属アレルギー  - アクセサリーを安全に着けるには(済生会川口総合病院・高山かおる)
  • 乾癬  - 新しい治療法もあります (埼玉医大・土田哲也)
  • 乾燥肌  - みずみずしい素肌を保つには (島田医院・坪井るみ子)
  • ケロイド  - 傷あとが盛り上がっていませんか (大島皮ふ科・形成外科・大島康成)
  • 毛虫皮膚炎  - ツバキやサザンカに触れませんでしたか (埼玉医大・寺木祐一)
  • 口唇炎・口角炎  - いろいろな原因で起こります (奥野皮膚科・奥野哲朗)
  • しいたけ皮膚炎  - 夏のバーベキューにご注意 (自治医大・出光俊郎)
  • 紫斑  - 内臓の異常が見つかることも (春日部ヒフ科・矢島 純)
  • しみ  - しみにもいろいろあります (多恵皮ふ科・井上多恵)
  • 湿疹  - 皮膚科医はこんなことを考えて治療しています (獨協医大・片桐一元)
  • 食物アレルギー  - スキンケアでアレルギーを予防する (自治医大・梅本尚可)
  • しもやけ  - 手足が赤紫色に・・、それはしもやけです (神崎皮フ科・神崎俊一)
  • 蕁麻疹(じんましん)  - あとかたもなく消える、かゆいボツボツ (あきもと皮フ科クリニック・秋元幸子)
  • 掌蹠膿疱症  - 手足に黄色いブツブツを繰り返します(さいたま市立病院・齋藤 京)
  • 水痘  - 抗ウィルス薬の内服で軽く済みます (大城胃腸科外科・大城晶子)
  • 多汗症  - 手の汗で困っていませんか? (防衛医大・佐藤貴浩)
  • 多形滲出性紅斑  - 重症の場合は生命に関わることも (本町診療所・伊崎誠一)
  • 皮膚がん  - 皮膚がんにもいろいろあります (埼玉医大・山本明史)
  • なめまわし皮膚炎  - 皮膚の保湿が大切です (埼玉医大・人見勝博)
  • 帯状疱疹  - 早い治療が重要です(永井皮膚科・永井 寛)
  • 単純ヘルペス  - 抗ウィルス内服薬が有効です (石塚医院・石塚敦子)
  • 爪水虫  - 頑固な爪水虫も内服治療で治ります (田沼皮膚科・田沼弘之)
  • 爪の病気  - 爪の色の変化が出てきたら専門医への受診を(埼玉医大・中村泰大)
  • 手足口病  - わかりやすい皮膚病 (自治医大・出光俊郎)
  • デルマドローム  - 皮膚は内臓の鏡です (本町診療所・伊崎誠一)
  • 床ずれ  - 在宅診療もしています (おうえんポリ・並里まさ子)
  • とびひ  - うつってひろがります。早めに皮膚科へ (今泉皮ふ科・今泉俊資)
  • ニキビ  - 素人療法をしていませんか? (埼玉医大・寺木祐一)
  • 白斑  - 根気強い治療で改善が望めます (町野皮ふ科・町野 哲)
  • 皮脂欠乏性湿疹  - 冬のかさかさの対処法は? (本町診療所・伊崎誠一)
  • 皮膚カンジダ症  - 病気が潜んでいませんか? (加藤卓朗)
  • フケ症  - 脂漏性皮膚炎はありふれた病気です (仲皮フ科・仲 弥)
  • 風疹  - 流行していますので妊婦さんは注意! (防衛医大・藤本典宏)
  • 粉瘤・脂肪腫  - 「脂肪のかたまり」ってよく呼ばれますけど実は… (松本皮膚科形成外科・松本吉郎)
  • ほくろ・メラノーマ  - ほくろのガンに注意 (さいたま市立・齋藤 京)
  • みずいぼ  - うつる病気です。早めに摘除しましょう (長村皮膚科・長村洋三)
  • 水虫  - 素人療法はけがのモト (仲皮フ科・仲 弥)
  • 虫さされ  - ボリボリ掻いていませんか? (いしだ皮フ科・石田 卓)
  • やけど  - 素人療法は禁物。皮膚科での早い対応を (多恵皮ふ科・井上多恵)
  • 薬疹  - 疑わしい薬を早く中止することが重要 (みどり皮ふ科・佐藤良博)
  • 毛孔性苔癬  - 上腕がザラザラしていませんか (防衛医大学・多島新吾)
  • りんご病(伝染性紅斑)  - 大人のリンゴ病はリウマチと間違われることも (埼玉医大・寺木祐一)
  • 老人性いぼ・稗粒腫  - 気になるようなら摘除します (久保皮膚科・久保和夫)
このページのトップへ