埼玉県皮膚科医会

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毛虫皮膚炎 - ツバキやサザンカに触れませんでしたか

毛虫皮膚炎
ツバキやサザンカに触れませんでしたか

埼玉医科大学総合医療センター皮膚科准教授 寺木 祐一先生

 

毛虫皮膚炎とは?

毛虫皮膚炎はガやチョウの幼虫に触れることによって生じる痒みの強い皮膚炎で、夏場によくみられます。

毛虫皮膚炎はなぜできるの?

毛虫皮膚炎はガやチョウの幼虫の毒針毛あるいは毒棘によって生じます。日常よく見られる毛虫皮膚炎の多くはチャドクガの幼虫によるものです。毛虫の幼虫のからだには50~100万本以上もある微細な毒針毛があり、それが皮膚に触れることにより皮膚炎を生じます。毒針毛は幼虫ばかりでなく脱皮殻、サナギ、成虫、卵にも付着しているので注意する必要があります。チャドクガの幼虫は4~6月と7~9月にかけて2回発生し、この時期になると毛虫皮膚炎の患者さんが急増します。幼虫は主にチャ、ツバキ、サザンカなどの庭木にいるので注意が必要です。毛虫皮膚炎は子供と比較的高齢の方に多く見られますが、子供は公園や木の多いところで遊ぶ機会が多く、また高齢の方は庭木や植木の手入れなどを行うことが多いからと思われます。

毛虫皮膚炎の症状は?

幼虫の毒針毛に触れるとすぐにチクチクした痛みを感じ、しばらくすると強いかゆみを伴って、赤く腫れた赤いブツブツがたくさん見られるようになります。発疹は1~2日後にさらに症状が強くなることが多く、治るまでに1~2 週間を要します。発疹は腕など露出している部位に多く見られますが、体にもよく見られます。これは衣服の着脱の際に毒針毛が散らばり、体に付着するためです。

 

毛虫皮膚炎

 

 

こんな時は皮膚科へ

毛虫皮膚炎は微細な毒針毛が皮膚に付着するのが原因であり、発症直後ならば流水で十分に流してください。衣服にも毒針毛が付着していることもあるので、衣服をよく洗うことも必要です。
毛虫皮膚炎は大変痒いのが特徴で、治療にはステロイド剤の外用が必要になります、発疹の広範囲ならば抗ヒスタミン剤などの痒み止めの内服も行います。毛虫皮膚炎は夏場の疾患であり、小児では引っ掻いて、とびひなどの皮膚感染症を併発することもあるので、早めの皮膚科受診が必要と思われます。

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