埼玉県皮膚科医会

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粉瘤・脂肪腫 - 「脂肪のかたまり」ってよく呼ばれますけど実は…

粉瘤・脂肪腫
「脂肪のかたまり」ってよく呼ばれますけど実は…

松本皮膚科形成外科医院院長 松本 吉郎先生

 

粉瘤とは?

よく「脂肪のかたまりが顔にできて医者に取ってもらった」とか人から聞いたことはありませんか?「脂肪のかたまり」って何でしょうか?俗にみなさんが「脂肪のかたまり」と言っているのは本当の脂肪組織ではないことが多く、そのほとんどは「粉瘤」です。
「粉瘤」とは皮膚内の袋状の腫瘤で、表面の皮膚は半球状にもり上がります。この腫瘤はたいてい皮膚とくっついていますが、その下の皮下組織とはある程度動きます。袋の内側は表皮が張り、その中身は白っぽい粥状のアカのかたまりです。大きさは直径5~30mm位で、中には直径100mmを越えることもあります。けがや手術やにきびの後に生じたり、ピアスの穴から生じることもありますが、大部分は原因不明です。悪性化することは通常ありません。診断は比較的容易ですが、中には手術前の診断がむずかしいこともあります。

脂肪腫とは?

実はもう1つ「脂肪のかたまり」と言われるものに本当の「脂肪腫」があります。これは、半球状にもり上がることもありますが、場所によっては、しこり触れるけれども平らに見えることもあります。大きさはやはり直径10~30mm位ですが、中には100mmを越えるものもあります。額や背中の皮膚の下に多く発生します。この中身は脂肪細胞のかたまりで、うすい膜でおおわれています。悪性化はまれです。

こんなときは皮膚科へ━皮膚科ではこんな治療をしています

粉瘤の治療は原則的に摘出術を行いますが、できた場所や大きさによっては簡単とは言えないことも多くあります。普通は通院治療で行います。炎症を起こし、はれている場合は切開し、中身だけ出しますが、再発することも多く、炎症が治まった後、きちんと手術されることをおすすめします。
脂肪腫の治療も原則的に摘出術を行います。大きさが小さければ、通院治療で手術を行います。非常に大きかったり、できた場所によっては入院して手術する場合もあります。
しかし、皮膚や皮下の腫瘍には他にも多くの種類があり、時に悪性のものがあります。手術前の診断がむずかしいこともありますので、必要に応じて手術をしたり、組織を一部取って検査することが大切です。いずれにしても、腫瘍は悪性ではなくても、大きくなればなるほど手術のきずあとも大きくなりますし、手術自体もむずかしくなったり、入院が必要になることもあります。早めに皮膚科専門医を受診して相談されることをおすすめします。

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