埼玉県皮膚科医会

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風疹 - 流行していますので妊婦さんは注意!

 

風疹
流行していますので妊婦さんは注意!

防衛医科大学皮膚科講師 藤本典宏先生

 

 

 

 

風疹は昨年から大流行中。平成25年に入り第6週から第10週まで1週間に約250例のペースで新規患者さんが報告され続けています。特に首都圏での増加が顕著です。

風疹ってどんな病気?

風疹ウイルスは Toga virus科Rubivirus 属の1本鎖RNAウイルスで、飛沫感染が多く、リンパ節を経てウイルス血症を来たします。潜伏期は数週間、前駆期は2日以内で、小児ではほとんど気づかれない程度の食思不振、全身倦怠感、軽度発熱、表在リンパ節腫脹が見られます。発疹期には熱発を伴い、顔から全身に紅色丘疹が出現、耳後部、体幹、四肢に拡大します。個々の発疹は粟粒大で、顔面、体幹では融合して見られることもよくありますが、四肢では融合せず貧血暈を伴うことが多いようです。発疹は色素沈着を残さず3日で消えるので三日はしかとも呼ばれています。熱発と紅色丘疹のほかに有痛性リンパ節腫脹 (特に耳介後部、後頭部、頚部) と関節痛、眼球結膜充血、軟口蓋の毛細血管拡張 (Forschheimer’s Spot) が特徴的な所見です。まれに脳炎、多発性神経炎や血小板減少性紫斑病、溶血性貧血などを合併することが知られています。成人になってから発症すると、前駆期、発疹期ともに小児で発症した場合と較べて、より症状が強くなる傾向が見られます。また、生命の危険はありませんが、妊娠5ヶ月までの妊婦が罹患すると種々の障害を持った低出生体重児が生まれる可能性があります (先天性風疹症候群)。しかしながら、羊水、胎盤絨毛、臍帯血のウイルス遺伝子診断では妊婦が感染しても胎児の8割は非感染であることが知られています。

治療と予防

治療は安静のみで良いのですが、発疹が消退するまで登校は許可されません。予防は風疹ワクチン接種で、その主目的は妊婦の罹患と成人重症例を防ぐことにあります。

Further information

 国立感染症研究所(National Institute of Infectious Diseases)のホームページでは風疹のより詳しい情報や新規患者の発生動向速報なども掲示されており、誰でも閲覧できるので、参考にされると良いかと思われます。

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