埼玉県皮膚科医会

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乾癬 - 新しい治療法もあります

乾癬
新しい治療法もあります

埼玉医科大学病院皮膚科教授 土田哲也先生

 

 

 

乾癬とは?

カサカサして赤みのある皮疹が慢性的に生じる病気です。伝染はしません。いわゆる湿疹(かぶれやアトピー性皮膚炎の症状)の慢性化した状態にも似ていますが、カサカサがより強く、皮膚がポロポロとむけてきます。痒みの程度は様々です。症状が重くなると、膿(うみ)をもって熱がでたり(膿疱性乾癬)、関節が痛くなったり(関節症性乾癬)、全身が赤くなったり(乾癬性紅皮症)することがあります。

 

尋常性乾癬(ふつうの乾癬)

膿疱性乾癬・乾癬性紅皮症(症状の強い乾癬)

 

乾癬はどうしてできるの?

なりやすい素質(白血球の型など)が基にあって、環境中の何らかの刺激がきかっけになり、免疫の細胞(リンパ球など)と皮膚の細胞の連絡がバランスを崩し、皮膚の細胞がどんどん増殖する(通常1か月程度で垢になって落ちるサイクルが数日に短縮する)ため、皮膚がカサカサと剥けてきやすくなります。

 

こんなときは皮膚科へー皮膚科ではこんな治療をしています

まず、本当に乾癬かどうかの見極めが必要ですので、疑わしい症状があったら最初から皮膚科を受診することをお勧めします。乾癬と診断したあとは、その症状の程度に応じて治療します。乾癬に限らず、慢性的な病気はいずれも複合的な要因によって生じますので、急性の病気のように一つの原因を取り除いて、すべて終了、あとは何のケアもなしに大丈夫というわけにはいきません。それでも継続的なケアさえ行えばよい状態をずっと保つことはできますので、対症療法と卑下せずに続けていただきたいと思います。乾癬における治療のターゲットは、免疫の細胞および皮膚の細胞の過剰反応です。症状の程度と副作用のリスクの兼ね合いを考えて治療方針を決めます。症状が軽い場合は、副作用が比較的少ない治療法である副腎皮質ステロイド薬外用(免疫への作用)およびビタミンD薬外用(皮膚への作用)を中心に行います。症状が強い場合は、それぞれ副作用の問題がありますが、より効果が高い治療法である、紫外線療法(免疫への作用)、ビタミンA誘導体内服(皮膚への作用)、または免疫抑制薬内服(免疫への作用)を行います。
昨年から、TNFα阻害薬(免疫への作用)という関節リウマチにも使われている注射薬も使えるようになり、かなり高い治療効果をあげています。ただし、治療にあたっては、結核などの感染症に対する厳重な注意が必要なため、症状の強い方が対象となりますし、使える施設は限られています。この治療をご希望の場合は、いずれかの皮膚科を受診してご相談いただき、必要に応じて使用施設をご紹介いただくか、使用施設の情報を得て受診していただくか、いずれかになると思います。

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