爪の病気 - 爪の色の変化が出てきたら専門医への受診を
爪の変化はさまざま
爪はれっきとした皮膚の一部であり、哺乳類はその進化の過程で、角質層という本来“あか”となって皮膚から脱落する皮膚の最外層の角質が堆積して硬くなった状態です。ヒトの健康な爪は表面が滑らかで凸に緩やかにカーブしています。爪先では直下の生体組織との接着がなくなり白色調となり伸びていき、この部分は日常生活において、爪切りで短めに切る部位となります。これがいったん爪にかかわる病気にかかると、滑らかな表面がゴツゴツと硬くなる、爪が分厚くなる・薄くなる、爪に茶色~黒色(色素)の縦すじ(爪甲色素線条)がでてきた、爪が剥がれやすくなる、爪が正常に伸びない、など様々な変化が生じます。
どんな病気で爪は変化する?
さまざまな病気や原因によって生じます。外傷、マニキュア、靴などの爪への外的刺激、内臓の病気(癌、貧血、腎臓疾患、内分泌疾患など)、感染症(爪の水虫である爪白癬や最近菌の混入によるもの)、遺伝的に爪が変化する疾患、爪に皮膚疾患が生じるもの(扁平苔癬、乾癬など)、爪に生じた悪性腫瘍など、爪の変化は多岐にわたる疾患や原因で生じます。
爪に色が出てきた これってがん?
子供と大人で大きく判断が異なります。幼少期に爪に色素が生じることはまれにあり、その多くはがんではなく、いわゆるホクロに近い状態と考えられています。辛抱強く経過観察しているとだんだん色が薄くなり、思春期を超えた頃には色が目立たなくなることが多いと考えられています。一方、青年期以降で爪に色素が生じた場合、①もともと生理的に色がつきやすい、②子供と同様にホクロに近い状態、③爪のがん(ボーエン病、悪性黒色腫)、の3つの可能性が主として考えられます。複数の爪に色素が生じる場合は①が多いですが、単一の爪に色素が出てきて、その幅がだんだん広がってきた場合は③の可能性が否定できません。
こんなときは皮膚科へ 皮膚科ではこんな診断・治療をしています
爪に色素が生じた場合、皮膚科専門医は、爪の色素が生じた時期や経過を詳しく聞いて、視診で色素の状態を把握し、ダーモスコピーという特殊な拡大鏡を用いて色素の濃淡や幅、分布などを精査します。それによって①放置して良い状態なのか、②慎重な経過観察が必要なのか、③さらなる検査が必要なのか、④爪の悪性腫瘍と考え手術などの治療が必要なのか、を判断します。
爪の悪性腫瘍で手術が必要な場合、進行してしまうと指趾(手のゆび・足のゆび)の切断が必要になることもあります。一方、早期であれば指趾の温存も十分可能なため、爪の色調の変化に気づいたら、早めに皮膚科専門医を受診することをお勧めします。
他の記事
- あざ - ぜひ専門医をお訪ねください (埼玉病院・中捨克輝)
- アトピー性皮膚炎 - 適切な治療でよい状態を保ちましょう (埼玉医大・中村晃一郎)
- 異汗性湿疹 - 「ニセ水虫」にご注意 (仲皮フ科・仲 弥)
- いぼ - 放置すると増えます。早めに治しましょう (さくら皮フ科・横井 清)
- うおのめ - 頑固なうおのめは合わない靴が原因? (井上皮フ科・井上 靖)
- 疥癬(かいせん) - 激しい痒み。ヒトから感染したダニが原因かも・・ (埼玉医大・寺木祐一)
- 円形脱毛症 - 根気強い治療で発毛を待ちましょう (獨協医大・片桐一元)
- 陥入爪・巻爪・ひょう疽 - 爪の切りすぎに注意 (スマイル皮膚科・倉片長門)
- かぶれ - 皮膚科で原因を見つけるのが早道 (中井皮膚科・小森一哉)
- 金属アレルギー - アクセサリーを安全に着けるには(済生会川口総合病院・高山かおる)
- 乾癬 - 新しい治療法もあります (埼玉医大・土田哲也)
- 乾燥肌 - みずみずしい素肌を保つには (島田医院・坪井るみ子)
- ケロイド - 傷あとが盛り上がっていませんか (大島皮ふ科・形成外科・大島康成)
- 毛虫皮膚炎 - ツバキやサザンカに触れませんでしたか (埼玉医大・寺木祐一)
- 口唇炎・口角炎 - いろいろな原因で起こります (奥野皮膚科・奥野哲朗)
- しいたけ皮膚炎 - 夏のバーベキューにご注意 (自治医大・出光俊郎)
- 紫斑 - 内臓の異常が見つかることも (春日部ヒフ科・矢島 純)
- しみ - しみにもいろいろあります (多恵皮ふ科・井上多恵)
- 湿疹 - 皮膚科医はこんなことを考えて治療しています (獨協医大・片桐一元)
- 食物アレルギー - スキンケアでアレルギーを予防する (自治医大・梅本尚可)
- しもやけ - 手足が赤紫色に・・、それはしもやけです (神崎皮フ科・神崎俊一)
- 蕁麻疹(じんましん) - あとかたもなく消える、かゆいボツボツ (あきもと皮フ科クリニック・秋元幸子)
- 掌蹠膿疱症 - 手足に黄色いブツブツを繰り返します(さいたま市立病院・齋藤 京)
- 水痘 - 抗ウィルス薬の内服で軽く済みます (大城胃腸科外科・大城晶子)
- 多汗症 - 手の汗で困っていませんか? (防衛医大・佐藤貴浩)
- 多形滲出性紅斑 - 重症の場合は生命に関わることも (本町診療所・伊崎誠一)
- 皮膚がん - 皮膚がんにもいろいろあります (埼玉医大・山本明史)
- なめまわし皮膚炎 - 皮膚の保湿が大切です (埼玉医大・人見勝博)
- 帯状疱疹 - 早い治療が重要です(永井皮膚科・永井 寛)
- 単純ヘルペス - 抗ウィルス内服薬が有効です (石塚医院・石塚敦子)
- 爪水虫 - 頑固な爪水虫も内服治療で治ります (田沼皮膚科・田沼弘之)
- 爪の病気 - 爪の色の変化が出てきたら専門医への受診を(埼玉医大・中村泰大)
- 手足口病 - わかりやすい皮膚病 (自治医大・出光俊郎)
- デルマドローム - 皮膚は内臓の鏡です (本町診療所・伊崎誠一)
- 床ずれ - 在宅診療もしています (おうえんポリ・並里まさ子)
- とびひ - うつってひろがります。早めに皮膚科へ (今泉皮ふ科・今泉俊資)
- ニキビ - 素人療法をしていませんか? (埼玉医大・寺木祐一)
- 白斑 - 根気強い治療で改善が望めます (町野皮ふ科・町野 哲)
- 皮脂欠乏性湿疹 - 冬のかさかさの対処法は? (本町診療所・伊崎誠一)
- 皮膚カンジダ症 - 病気が潜んでいませんか? (加藤卓朗)
- フケ症 - 脂漏性皮膚炎はありふれた病気です (仲皮フ科・仲 弥)
- 風疹 - 流行していますので妊婦さんは注意! (防衛医大・藤本典宏)
- 粉瘤・脂肪腫 - 「脂肪のかたまり」ってよく呼ばれますけど実は… (松本皮膚科形成外科・松本吉郎)
- ほくろ・メラノーマ - ほくろのガンに注意 (さいたま市立・齋藤 京)
- みずいぼ - うつる病気です。早めに摘除しましょう (長村皮膚科・長村洋三)
- 水虫 - 素人療法はけがのモト (仲皮フ科・仲 弥)
- 虫さされ - ボリボリ掻いていませんか? (いしだ皮フ科・石田 卓)
- やけど - 素人療法は禁物。皮膚科での早い対応を (多恵皮ふ科・井上多恵)
- 薬疹 - 疑わしい薬を早く中止することが重要 (みどり皮ふ科・佐藤良博)
- 毛孔性苔癬 - 上腕がザラザラしていませんか (防衛医大学・多島新吾)
- りんご病(伝染性紅斑) - 大人のリンゴ病はリウマチと間違われることも (埼玉医大・寺木祐一)
- 老人性いぼ・稗粒腫 - 気になるようなら摘除します (久保皮膚科・久保和夫)