床ずれ - 在宅診療もしています
床ずれをご存知ですか? なぜできるのでしょう?
これは「褥瘡」とよばれています。体の動きが不自由な方や知覚麻痺のある人に起きやすい、皮膚の潰瘍(傷)です。我々の調査では、約半数の人が入院中に発症し、残りの半数は家庭で療養中に起きています。
褥瘡の多くは、皮膚の一定の部位に長時間圧力が加わり続けると、その部分の血流が途絶えてしまうことにより起こります。体圧を受けやすい骨の突出している部位−背中やお尻、踵など−が要注意です。
踵部の褥瘡 A:89歳女性 3カ月で治癒
B:76歳男性 1.5カ月で治癒
仙骨部の褥瘡 A:77歳女性 2.5カ月で治癒
B:69歳男性 3カ月で治癒(除圧が困難で長時間を要した)
どうすれば予防できるでしょう?
体の不自由な人が同じ姿勢をとり続けないよう、家族や周りの人々が手助けしてあげましょう。ごく初期の場合は、皮膚の圧迫部が赤くなる程度です。赤い部分が30分経っても消えなかったら、褥瘡の前兆かも知れません。早期の褥瘡は、そこに圧力が加わらないようにすれば(除圧)早く治ります。しかし放置しておくと、大きな傷になり骨にまで炎症が及ぶこともあります。
褥瘡治療の最前線で皮膚科が活躍します。
できてしまった褥瘡は、「傷の治し方」の原則に則って治療します。まず、壊死組織(黒くて硬い部分や化膿した部分など)を可能な限り取り除き、取りきれない部分は外用薬を使って除去します。深い傷には吸収力の強い綿のような物を充填することもあります。また、傷の治りを促進する薬も使います。1日1回流水で創部を洗い、外用剤を塗って傷が乾燥しないように保護します(湿潤環境の保持)。深くポケット状にえぐれた褥瘡には、細い管を差し込んで固定し、吸引療法を行うこともあります。傷が浅くなって様々な貼付剤を使うようになると、傷の手当てはとても楽になります。
大切なことは、褥瘡の発見直後から傷の除圧を怠らないことです。除圧ができれば、治療は半分成功したといえるでしょう。
しかし、これだけではどうしても治らない褥瘡もあります。条件が許せば、形成外科の協力を得て様々な手術を行います。
通院は大変なことなので、家族や介護の方々の協力を得ながら、多くは訪問診療で治療しています。
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