ケロイド - 傷あとが盛り上がっていませんか
ケロイドとは
皮膚に生じた「傷(きず)あと」が赤くなり、元の傷より拡大して盛り上がった状態をケロイドと呼びます。人間だけにできますが、その発生頻度には人種差があります。白人に少なく、黒人に多く、我々黄色人種はその中間と言われています。傷の原因、重症度、広さにかかわらず、傷からケロイドが発症する可能性はあります。傷は、適切な治療により早期に治癒した場合、目立たない「きれいな傷」になることが期待できます。それに対して、ゆっくりと自然治癒した場合にケロイドが起きやすいのです。つまりケロイドとは「傷が過剰な状態で治ったもの」です。「ケロイド」と聞くと、「大やけどの後の焼けただれた皮膚」を連想すると思いますが、些細なけがでも早期の適切な治療を行わなかった場合、ケロイドが生じる可能性はあります。
ケロイドが生じやすい部位
耳:ピアスの穴からケロイドが生じる場合があります。特に素人が穴を開けた場合に起きやすいようです。またピアスによる金属アレルギーで耳を掻いた後にケロイドになった例もあります。
あご・胸:ニキビやおできをつぶしたことが原因でケロイドが引き起こされます。
背中(特に肩甲骨部):ニキビの好発部位でもあり、伸縮運動の負荷がかかりやすい部位ですからケロイドが発生し易いのです。
ひじ、ひざ:伸縮運動が連続して行われる部位のため、しばしば転んだ後のすり傷からケロイドが発症します。
上口唇:同様に連続した伸縮運動のため、すり傷からケロイドが発症する場合があります。
このようにちょっとした、傷とは認知できない状態からでもケロイドは発症するので、ピアスの穴開け、ニキビの治療は皮膚科で行うことをお勧めします。
ケロイドの治療
ケロイドに伴うかゆみに対して抗アレルギー剤の飲み薬、ステロイド含有の塗り薬、貼り薬、注射があります。腹部の手術跡やピアス後の耳たぶにできた巨大なケロイドには手術療法もあります。これらの治療は皮膚科、形成外科で行っております。手術療法に加え電子線照射療法を行うこともありますが、これは難治例にのみ行います。ケロイドは治療に抵抗し、いったん縮小しても再発しやすい難治な病気です。「この程度のことから」と思われる些細なことでもケロイドは発症しますので、普段から皮膚を愛護的に扱い、何よりもケロイドを作らないことが大切です。
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