しもやけ - 手足が赤紫色に・・、それはしもやけです
え、これって、しもやけなの
子供の足に出来た赤紫色の発疹を見て、こう驚いたような声を上げる親御さんが最近多くなった気がします。居住環境の向上や近年の暖冬により、見ることが少なくなったからと思われますが、寒さが厳しい時期には、まだまだたくさんの患者さんが外来に来られます。正式な病名は凍瘡で、気温4~5度、日差10度以上となる冬に頻発、学童に多く、手足(特に指趾)、耳、頬、鼻、前腕などにみられます。ただし夏場、冷房のかけすぎで女性の大腿部に発症した例もあります。症状は暗紫紅色の紅斑、腫脹で、重症化すれば水疱、びらん、潰瘍へと進行していきます。痛がゆく、これは入浴、就寝時など皮膚温の上昇とともに増強します。罹患部位全体が紫藍色でうっ血性に腫脹する樽柿型と小さな紅斑丘疹の散在から成る多形滲出性紅斑型とに分類されます。
本当にしもやけでいいの?
ではしもやけはどのようにできるのでしょう。まだ正確な原因は不明ですが、寒冷に暴露された血管が収縮すると動脈は静脈より早く回復するため循環不全がおこり血液のうっ滞から滲出液が血管外組織にでて発症すると推定されています。また個人の素因である遺伝、多汗、栄養状態等も関与することになります。極度の低温により皮膚が凍結し壊死に陥る凍傷とは異なり、鑑別を要します。さらに冬以外の季節や好発部位でない所にみられたり、紅斑の経過が長く難治性の潰瘍となる場合は全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群などの膠原病や全身性血管炎、サルコイドーシス、甲状腺機能低下症、薬疹などの病気も考慮しなければなりません。
こんな時は皮膚科へ
さて治療ですが、まずは予防がより重要となります。手足の摩擦、特に入浴時、湯船につかりながらの2~3分マッサージがよいとされています。また寒いところに移動する際、その温度差が誘因となるため手袋や耳あて、帽子、厚いウールの靴下など防寒をしっかり行うことが大切です。それでもしもやけとなってしまった場合、予防に挙げた事項を励行すれば、約1週間で自然に治癒します。しかし症状が遷延するようであれば、薬剤による治療を要し、ビタミンEの内服外用、類ヘパリン物質、女性ホルモンの外用、かゆみに対しては抗ヒスタミン剤内服が一般的です。皮膚がくずれ、びらん、潰瘍へと増悪したときは抗生剤内服外用、潰瘍治療剤を用いることもあります。1週間以上治らない場合は安易に考えず、他疾患の鑑別も含め、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
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