掌蹠膿疱症 - 手足に黄色いブツブツを繰り返します
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは?
手のひらや足の土踏まず、かかとなどに膿の溜まった膿疱が多発する皮膚病です。膿疱部分の皮膚は赤くなり、かさぶたとなって皮がむけますが、慢性に症状を繰り返します。痒みを伴うこともありますが、膿自体に菌はいませんので他の部位や他人にうつる事はありません。また、爪が変形したり、胸骨・鎖骨部分(胸鎖関節)や手足に腫れ・痛みを伴うことがあります。手足にブツブツができる似た症状の疾患には足白癬(水虫)、接触皮膚炎(かぶれ)、異汗性湿疹などがあり、見た目だけでは診断が難しい事も多いです。検査や治療がそれぞれ異なりますので、自分の判断で市販薬を使って治ればいいのですが、治らないままずっと粘るのはお勧めしません。
何が原因ですか?
掌蹠膿疱症の原因は残念ながらわかっていません。しかし、ある程度体質の要素がある疾患であろうとされ、また、増悪因子として病巣感染(慢性扁桃炎や蓄膿症、虫歯や歯槽膿漏、中耳炎や胆嚢炎など、慢性的に膿がたまるような感染巣の存在)や金属アレルギーが関係することがあります。病巣感染に関しては自覚症状を欠くこともあり、言われてみれば扁桃腺が慢性的に不調な患者さんが、耳鼻科に相談して治療し皮膚が軽快するといったことも経験します。さらに患者さんの多数は喫煙者であることも特徴で、禁煙で症状が徐々に改善することが期待できるため、この疾患を疑った段階で喫煙は良いことはなく、禁煙がお勧めとなります。
こんな時は皮膚科へ−皮膚科ではこんな治療をしています
感染巣がある場合は抗菌薬を一時的に投与したり、病変部を取り除いたりします。また、金属アレルギーが疑われるときは金属パッチテストを行い、陽性だった場合はアレルギーの対象の金属を避けることを心掛けてみる(含有している歯科金属の除去や含有量の多い食物の摂取を減らす努力)と軽快することもあります。これらは因果関係の証明が難しく絶対確実な対処ではないのが実情ですので、どのくらい困っているかや金銭・時間がどこまで掛けられるかを相談して方針を決めることになります。
検索で増悪因子がはっきりしない場合は対症療法が中心になります。皮疹を抑えるのにステロイド外用薬や活性型ビタミンD3軟膏などの外用、痒みに抗アレルギー薬、関節の痛みに非ステロイド性抗炎症薬の内服が一般的ですが、それでコントロールできない時は様々な治療を併用して工夫することも多いですし、徐々に進歩もしています。光線療法(PUVA、ナローバンドUVB、エキシマライト)やビタミンA誘導体内服の短期や低用量の使用も有望です。また、関節の痛みに昔から一部で行われていたビオチン療法(保険の問題などもあり一般的ではありません。昔女優さんの話で有名になりました)が確かに有効な人もいますし、最新の薬の技術である分子標的薬が重症な人に(高価ですしすべての医院では投与できないため安易には使いません)投与できるようにもなりました。掌蹠膿疱症は経過の長い病気ですが、根気よく治療すれば日常への影響はかなり減らすことができますので、お近くの皮膚科にご相談ください。
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