多形滲出性紅斑 - 重症の場合は生命に関わることも
どんな皮膚病?
このわかりにくい病名に戸惑う方が多いと思います。皮膚科医が頭に描く病像は明確で、意外に重症のこともある重要な皮膚病です。典型的な皮膚病変は直径1-2cmのあかい丸いもので中央がみずみずしく少し盛り上がり、そこが水疱になったり、そこに血液が混じることもあります。形が二重の同心円に見えるのが特徴でしばしば弓矢や射撃の的(まと)のような形と表現されてきました。軽症の時は手の甲の部分や肘・膝のまわりに数個のようなこともあり、体全体に多数出てきて次々と融合して大きな病変になったり、さらに広い範囲に左右対称性にみられることもあります。
原因は?
原因としてはウィルス感染が多いと考えられています。特に単純ヘルペスウィルスは一時大きく取り上げられましたが、いまだ不明のウィルスも考えておかなければなりません。その他の細菌やマイコプラズマという細菌とウィルスの中間のような病原体の可能性もあり、原因として検査しなければなりません。薬疹として生じることもあります。
えっ、重症? 粘膜も?
重症の場合は,発熱し,関節痛や結膜の充血、口唇口腔粘膜の水疱・びらんが生じ、さらには陰部にも水疱・びらんがでてきます。皮膚・粘膜・眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)と呼ばれる状態のことです。このような時は皮膚科専門医が複数いる大きな病院に入院して治療を受ける必要があります。生命の危険もありますが、幸いに命が助かっても視力低下などの後遺症が重大問題です。したがって多形滲出性紅斑が薬疹として生じるひとつの型であることを忘れてはならないし、他方では薬疹以外の事もあるので常に初心に戻って診断・治療を進めるべきなのです。
こんな時は皮膚科へ、皮膚科ではこんな治療しています
じんましんのようだが少し違うなと言う時、眼が充血、くちびるがぴりぴりする時、熱があって赤い発疹があちこちに出る時, 子供でもお年寄りでもまずは皮膚科医に診せて下さい。はしか、風疹、知恵熱、薬疹、など考えることがたくさんありますが、どの検査をすれば良いかもまずは発疹の性質から判断します。それが早い治療につながります。
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