フケ症 - 脂漏性皮膚炎はありふれた病気です
フケとは?
フケは頭皮の新陳代謝の際に、要らなくなった角質細胞が角質片となって剥がれ落ちるもので、生理的なものです。その角質片は通常さほど大きいものではなく、量も少ないので、定期的に洗髪して流してしまえば、さほど目立たず、気になるものではありません。しかし、何らかの原因で剥がれ落ちる量が増えると、フケが目立つようになり、「フケ症」と呼ばれるようになります。フケ症になると、頭皮に炎症が生じて痒みや赤みを伴うこともあります。このフケ症は体質的に皮脂の分泌の多い人がなりやすく、その大部分は脂漏性皮膚炎の軽いもの、あるいは前段階と考えられています。
脂漏性皮膚炎はどんな病気?
脂漏性皮膚炎はありふれた病気で、皮脂腺の働きが活発化する思春期以降に発症します。頭、顔、耳、腋の下、胸や背中の正中部などの、皮脂腺が多く存在する脂漏部位に湿疹が生じ、通常痒みを伴います。頭皮に赤みやフケを伴うほか、眉間や鼻背のいわゆるTゾーンから鼻の周囲にかけてカサカサとした赤みが生じます。また、アポクリン腺の多い腋の下や股間にも同様の症状がみられることがあります。慢性に経過し、冬に悪化、夏に軽快という季節的消長を繰り返しながら、数十年にわたり続くことも珍しくありません。通常、脂漏性皮膚炎で抜け毛を生じることはありませんが、慢性的に掻き続けていると、毛が切れたり抜けたりすることもあります。
フケの予防は?
日常生活においては、できれば毎日入浴し、低刺激性の石鹸(シャンプー)を使って、ていねいに洗髪し、皮脂やフケを取り除きます。フケ止め用のシャンプーもいろいろ市販されていますが、中にはかえって刺激を増すものもありますので、注意が必要です。また、ゴシゴシ洗うと頭皮の病変部が刺激され、かえって炎症が強くなり、フケも益々多くなってしまいますので、強く擦らないようにします。転勤や残業など仕事のストレス、過労や睡眠不足などは増悪因子となりますので、規則正しい生活を心がけ、過度のアルコール摂取を避け、十分な睡眠をとるように注意することが大切です。
こんなときは皮膚科へー皮膚科ではこんな治療をしています
こうした日常生活の注意だけで改善するケースは多いのですが、症状が激しい場合やなかなか治まらないときには、皮膚科専門医で治療を受けてください。ステロイドの外用は有効なのですが、治療をやめると再発する傾向があるため、長い間外用しがちです。そのために皮膚が萎縮して薄くなり、血管が浮き上がって赤く見えたり、細菌や真菌などの感染症が起こりやすくなるなどの副作用を生じることがあります。このような副作用を防ぐ意味でも、症状が軽いときには、ケトコナゾール(抗真菌外用薬)などの副作用の少ない外用剤がよく処方されます。内服薬としては痒みの強い場合は抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を用います。また、皮膚の新陳代謝を促すためにビタミンB2やB6などもよく用いられます。
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