皮膚病の話 - ぜひ専門医をお訪ねください
あざって何?
あざには青あざや赤あざ、茶あざ、黒あざ、白あざ、そして疣(いぼ)状あざ、があります。この名称のヴァリエーションは、由来する原基(個体の発生段階で、その形態や機能が器官としてまだ分化していない状態の細胞群)の別によるもので、遺伝的あるいは胎生的素因にもとづいて、生涯のさまざまな時期に現れてくる限局した皮膚の形成異常を指しています。組織学的にはある構成要素の過剰と別の要素の減少という形で観察されます。また、さまざまに、全身症状を伴うものがあり、それらは母斑症と呼ばれ奥が深いです。もし心配なあざがあればインターネットで調べただけで終わりとはせず、ぜひ専門医へ!大切なことは正確な診断と知識、妥当な治療と対応なのですから。
乳児血管腫(いちご状血管腫)って?
赤あざの代表で、血管内皮細胞の増殖です。皮膚がいちごのように赤く隆起・増大したのち、退縮するといった自然歴を有します。女児、また低出生体重児に多いことが分かっています。いったん膨らんでしまうと、皮膚にはしわしわした跡が残ることになるのであとをなるべくきれいに治すには早めに治療を行うことをおすすめします。レーザー治療のほか、飲み薬による治療を行うことができます。自然に退縮するのを待つ場合、一般には2~5年ぐらいの時間がかかります。
ポートワイン母斑って?
名称のような色調の赤あざで、本態は毛細血管のネットワークに起きた形成異常です。三叉神経の1・2枝領域に生じた際は、スタージウェーバー症候群といった病態をときに来たし、てんかん発作や緑内障を生じることがあります。
疣状あざには何があるの?
表皮母斑と類器官母斑が代表です。前者は主たる構成成分が角化細胞で、Blaschko線という胎生期に形成される線に沿って配列します。後者は構成成分に脂腺・アポクリン腺・毛包などが含まれます。共に表面のザラザラした性状が変化しますが、後者ではここに挙げたコンポーネントに由来した腫瘍の発生が時にあり、このことが切除する根拠を与えます。また共に中枢神経や眼・骨の症状を来たすことがあります。
ほかにはどんなあざがあるの?
青あざは真皮上・中層に増加したメラノサイトにより生ずるもので、三叉神経1・2枝領域に生じた太田母斑や、肩峰三角部に生じた伊藤母斑があります。またメラノサイトにもシュワン細胞にもなれず分化が不充分なまま留まった細胞が、分布と増殖の異常を来たして生じたものが母斑細胞母斑(黒あざ)です。
母斑症って怖いの?
茶あざが多数存在した際に、中枢神経の症状や骨・眼・内分泌臓器などの症状をときにきたすフォン・レックリングハウゼン病、また、大きな黒あざがあって、それが中枢神経にも存在し、てんかんなどの原因となる神経皮膚黒色症などがあります。しばしば親御さんがインターネットで大量の情報を仕入れていらっしゃいますが、大事なことは、専門医を訪ねて本当に正確な知識を知り、妥当な対応と治療を受けることです。怖がることはありません。
こんなときは皮膚科へ—皮膚科ではこんな治療をしています
太田母斑やポートワイン母斑にはレーザー治療が奏効します。いちご状血管腫は時期・症状の程度、また発生部位により、異なった対応をします。表皮母斑には数回の皮膚剥削術、類器官母斑には2次性腫瘍発生前の切除、大きな黒あざには切除と再建が通常なされます。母斑症には多くの全身合併症が診られることがありますが、やはり臓器別に、それらに詳しい他科の医師と一緒に、治療・対応にあたります。
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