埼玉県皮膚科医会

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2022年「皮膚の日」市民公開講座(WEB開催)のご報告

 2019年まで市民会館うらわで行っていた市民公開講座ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2022年もWEB開催となり、お二人の先生にご講演いただいた動画を10月1日~12月31日までYouTubeで配信しました。秋元幸子先生には「もう悩まない!ニキビの最新治療」というテーマで、また三石剛先生には「うつる’イボ’とうつらない’イボ’のお話」というテーマで講演をしていただき、たくさんの方にご視聴いただけました。

「もう悩まない!ニキビの最新治療」

あきもと皮フ科クリニック 秋元 幸子 先生

 ニキビで悩んでいるけれど、どこに相談してよいか分からない方、皮膚科へ行ったこともあるけれどよくならなかったという経験をお持ちの方、皮膚科に通院中の方、お子さんにニキビの相談を受けたお母さまにもご覧いただけるように作成しました。
・皮疹の解説:特に面ぽうと微小面ぽうの存在を強調しました。また、ニキビ後の赤みとニキビ跡の凹凸を紹介し、活動性の皮疹と異なることを伝えました。
・ニキビの成り立ち:にきびの形成過程における面ぽうの意義を伝え、面ぽうを治す薬が、ニキビ治療薬として大切な役割を担っていると伝えました。
・抗生物質について:抗生物質を長期使用しても繰り返すニキビの根本治療にはならないことと、薬剤耐性菌出現の問題を伝えました。
・面ぽう治療の歴史:昔は硫黄カンフルローションしか処方できるものがなかった。1994年頃よりケミカルピーリングという施術が、主に美容皮膚科やエステテイックサロンで行われるようになり、にきびに有効な施術として知られるようになった。一方、その頃、皮膚科で行われる保険診療の中心は抗生物質の内服外用だった。その後、2008年にアダパレン含有製剤が保険診療で処方できるようになり、2015年以降は過酸化ベンゾイル含有製剤が使用できるようになった。これにより保険診療で出来る皮膚科でのにきび治療はだいぶ進化したと伝えました。また、昔のイメージで皮膚科ではニキビは治せない、治療していないと思っている方がいることも指摘しました。
・面ぽう治療薬の特徴と使い方のポイント:アダパレン含有製剤と過酸化ベンゾイル含有製剤を面疱治療薬と仮称して解説しました。ニキビの元を治す薬であること、微小面ぽうを意識してニキビのできやすい部分にはニキビのないところも含めて点状にではなく、面で広く薬を付けることを伝えました。刺激のある薬剤であるため、刺激性皮膚炎を生じることがよくあるが、中止に至るアレルギー性接触皮膚炎はまれで、多くは工夫次第で使えるようになること、皮膚がもともとかさついているなど荒れているときは、使う前に皮膚の状態を整えてから使う必要があることを伝えました。
・治療の経過:長い経過の写真を示し、面ぽう治療薬は中断しないこと、続けることが大切であると強調しました。
・スキンケア:Q&A方式で紹介しました。
・皮膚科へ行ったけれど治らなかったという患者さんについて:面ぽう治療薬が処方されているか、正しく使えているかも含め、いくつか思いつくことをご紹介しました。正しく面ぽう治療薬を使用したのに、皮疹が新生してしまう方もいます。そのようなときの対応について私見を交えて伝えました。
・保険適用外の治療:皮膚科の中には、美容皮膚科という部門を作るなどして保険適用外治療を行っている施設と保険適応外治療は行っていない施設があること、美容皮膚科クリニックとして保険適用外治療を専門に行っている施設もあること、ニキビ後の赤みやニキビ跡の治療は保険適用がないこと、それぞれの施設でいくつかの保険適用外治療を試みているのが現状であると伝え、保険適応外のニキビ治療について、出来るだけ客観的に紹介するよう努めました。
 また、保険適応外治療の一例として、小院で行っているにきび後の赤味(炎症後紅斑)を速く薄くするIPL(Intense Pulsed Light)治療、ニキビ跡の瘢痕に対するフラクショナルレーザー治療を紹介しました。
 最後に、今回、ニキビ治療について振り返り、自分なりにではありますが、まとめることができました。動画を作る機会を与えていただき、ありがとうございました。
作成の過程で、製薬会社が患者啓蒙活動の一環として、とても分かりやすい冊子や動画などを多数供給していることを改めて認識しました。また、皮膚科医として、患者さんが面ぽう治療薬を正しく使えるよう指導することの重要性と、薬剤を正しく使用しても難治の患者さんの治療にも取り組む必要性を感じました。

「うつる‵イボ′とうつらない‵イボ′のお話」

日本赤十字社 さいたま赤十字病院 皮膚科 三石 剛 先生

 コロナウイルスの流行から数年たち、2023年1月現在、世界では新型コロナウイルス変異株が流行しております。米国では従来のBA.5は減少し、オミクロン変異株のBQ1、BQ1.1、XBB1.5が圧倒的に増加し、オミクロン株対応のワクチンではないと感染予防が不可能になってきました。日本においてはまだBA.5株が半数以上の流行ですが、徐々にXBB1.5、BQ1.1、BQ 1、BF.7らの変異株が増加しております。さいたま市におけるワクチン接種状況におきましては、1回目接種済数84.9%(1,012,226人)、2回目接種済数84.5%(1,007,821人)、3回目接種済数73.4%(875,634人)、4回目接種済数47.0%(560,226人)、5回目接種済数55.8%(207,609人)であり、オミクロン株対応ワクチンの接種状況は42.8%と、まださいたま市民は半数も接種できていない状況です(1月13日時点)。
 またこういった背景から日本における死者数は一時500人を超えるようになり、オミクロン株対応のワクチン接種率の低さと重症者数の下げ止まりがないことから、第8波はまだピーク時期が明白に見えていない状況です。時が経つにつれて、コロナはただの「風邪」と考えているワクチン未接種の市民は少なくないかと思います。しかし医療の現場は病院職員の感染が増加し、いわゆる‘コロナ病棟’は満床となり、対応する職員の減少から、医療はまだ逼迫していると言わざるを得ません(1月13日時点)。特に高齢者の感染は基礎疾患の悪化から在院日数が伸びる傾向で、手術を要する患者は後回しの傾向に至っていることは、コロナウイルスが流行し出した当初と変わりないように思えます。
 前置きが長くなりましたが、筆者はオミクロン株が流行し出した時期に「皮膚の日」市民公開講座をオンライン講演で行わせて頂きました。タイトルは‘うつるイボとうつらないイボのお話’で、できるだけ市民にわかりやすいオンライン講演であったかと思います。またさらに全国の方にも周知して頂けるようにYouTubeに10月1日から12月31日の期間限定で掲載させて頂き、特に編集に関わられたスタッフの方には深く感謝申し上げます。内容は、1)伝染性軟属腫、尋常性疣贅、扁平疣贅らのウイルス性のイボと、2)軟性線維種や脂漏性角化症といった非ウイルス性のイボについて臨床と治療について市民ができるだけわかりやすいように、過去にメディアに出演させて頂きましたNHKテレビの「ためしてガッテン」、「きょうの健康」、「チョイス@病気になったとき」、「朝イチ」などで用いましたフリップボードを取り入れ解説させて頂きました。本来ならオミクロン株の流行がなければ、on siteで市民の方とアイコンタクトで講演し、また質問にお答えするつもりでしたが、あいにく第8波の到来で以前のような講演には至りませんでした。「皮膚の日」市民公開講座は今後も続くでしょうが、コロナ関連感染症流行が終息に向かい、市民の方々とアイコンタトでの講演会に戻る日が来ることを期待しております。


ご視聴いただいた皆様方、本当にありがとうございました。

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