埼玉県皮膚科医会

文字の大きさ

2014年「皮膚の日」市民公開講座のご報告

いつまでも健やかな皮膚を保つ

 2014年11月9日(日)に第5回「ひふの日」市民公開講座をさいたま赤十字病院講堂(さいたま市中央区)で開催しました。曇り空の中、予想を上回る約270名の皆様方にご来場いただき、大変盛況な会になりました。ご参加いただき誠にありがとうございました。お二人の先生による熱の入ったご講演と会場の皆様を交えた質疑応答で、立ち見が出るほど満員になった会場は熱気にあふれていました。

 


皮膚のトラブル相談コーナー

講演に先立ちまして、「お肌のトラブル相談」が特別ブースで行われ、14名の皮膚科医がご来場の皆様の皮膚に関する疑問や質問を受けました。相談された方は79名と年々増加しています。年齢層も20代~80代と広く、相談内容もシミ・しわ・ニキビからアトピー性皮膚炎まで多岐にわたっていました。


「開会の挨拶」

埼玉県皮膚科医会会長・仲皮フ科クリニック院長 仲 弥 先生

 いつまでも健やかな皮膚を保ちたい。これはだれもが思うことですよね。では、いつまでも健やかな皮膚を保つためにはどうしたらいいでしょうか?
昔から言われている3原則というのがあります。「清潔」「保湿」「紫外線対策」です。つまり、「バイ菌が付かないよう、皮膚をよく洗って清潔にしておくこと」「保湿クリームを塗って皮膚の乾燥を防ぐこと」「紫外線から肌を守って、皮膚の老化を進行させないこと」です。その他に「食生活に気を配ること」や「ストレスの解消」も皮膚の健康を保つ上で重要といわれています。
では、いつまでも健やかな皮膚を保つために皆さんができること、具体的にはどのようなことをしたらよいのでしょうか。また、このような対策を怠ると皮膚はどうなってしまうのでしょうか。その辺のことにつきまして、今日はお二人の先生方からお話を伺います。お話をお聞きいただいて、皆様が正しい知識をお持ち帰りいただければ何よりと考えております。


 「加齢による皮膚トラブルとその予防~乾皮症から皮膚がんまで~」

埼玉医科大学総合医療センター皮膚科教授 伊崎誠一先生

 埼玉県は人口構成が若いと言われてきましたが、 いまや急速に高齢化が進み、 2015年には65歳以上が25%を越えることが予想されています。 この超高齢化社会でどのような皮膚病が問題となるか、 代表的な皮膚のトラブルを取り上げて解説します。
1) かゆい皮膚病: 高齢者の皮膚は萎縮し、 傷つきやすく、 また乾燥します。乾燥した外界からの刺激を受けやすいため、 また体内の水分を蒸散させやすいためますます乾燥し、 かゆく感じます。 乾皮症にともなう皮膚のかゆみは、 しばしば高度の湿疹あるいは痒疹を引き起こします。 通常は清潔と保湿のスキンケアを行い、 さらに少しの治療で十分改善しますが、 そのなかには普通の治療で全く改善しない場合があります。 そのような時、 糖尿病やその他の内臓疾患が隠れていることがありますので、 要注意です。 普通ではない皮膚のかゆい病気の時は、 是非皮膚科専門医を受診して下さい。 また疥癬のような病気もあります。
2)
痛い皮膚病: 糖尿病の方は免疫による抵抗力が弱いため、 いろいろな感染症にかかりやすいと言われています。 私たちの病院で高度の細菌感染症のために入院する方の大多数に糖尿病が見つかります。 赤くなって、 さわると熱く、 痛い蜂窩織炎がその代表ですが、 さらに重症の壊疽性筋膜炎の様に生命の危険を伴うこともありますから油断できません。 一方ウィルス性の代表的な疾患に帯状疱疹があります。 これも高齢者では発熱・食欲の低下・不眠などの全身症状が出現しやすく、 さらに神経痛が強く、 長く続くことが多いのです。 初期治療が重要です。
3) かゆくも痛くもない皮膚病: 皮膚がんはいろいろながんの中では頻度の低い病気と思われていましたが、 近年高齢者の皮膚癌が増えています。 早期に発見して早期に切除することができますので、いつも皮膚をみて注意していて下さい。 皮膚がんの原因として紫外線が問題になっています。 若いうちから紫外線防御を心がけることが大切です。
4)
最近高齢者施設で問題となっている皮膚病: 水疱性類天疱瘡という病気が特別養護老人ホームや介護老人保健施設でしばしば見つかります。多くは少量の副腎皮質ホルモン剤を使用する比較的軽い治療で改善しますが、このような病気があることを知っておいて下さい。 また寝たきりになると褥瘡 (床ずれ) ができます。 褥瘡は二重の苦しみとなって高齢者を苦しめます。 寝たきりにならないために、 家族のコミュニケーションが大切です。また少々からだが不自由になっても、日中はベッドから起きて屋外、 屋内で運動しましょう. 自力で動かなくなっても、 関節の運動をみんなで助けてあげて下さい。 少しでも元気な状態を維持して長生きすることが大切です。


 「スキンケアと治療の実際~ニキビからシワ、シミまで~」

千春皮フ科クリニック院長 渡辺千春先生

 人は誰しも年を取っていきます。平均寿命も年々延び高齢化社会と呼ばれる今、どのように年を重ねていくかが課題となりますが、「誰しも年を取るのだからありのままに自然に年を重ねていきたい」という方より、「食事・運動に気を使って生き生きと元気に美しく年を重ねていきたい」と思っている方のほうが多いのではないでしょうか?
内臓や身体だけでなく肌も体の一部です。肌の若々しさは努力やケアによって結果が変わってきます。肌のケアは、内臓や関節のケアを行うことと同じことです。
加齢変化は、皮膚のしわ・たるみだけではなく、脂肪が委縮したり、筋肉にハリが無くなったり、骨までも委縮することによって現れてきます。細かく言えば眉間や額のしわ・目の周り・口周り・法令線・頬のたるみ・下眼瞼の皮膚やフェイスラインのたるみなどが組み合わさって起こります。ただ、このような症状は、外科的手術をしなくてもスキンケアと皮膚科的美容治療によってある程度改善することができます。そこで、スキンケアと皮膚科的美容治療について分かり易く3STEPに分けて説明致します。
STEP1(基本ケア)
1 食事:美肌には、腸のコンディションを整えることが大切です。例えば玄米やお魚、発酵食品、ごま、海藻類、ビタミンの豊富な季節のお野菜などが良いと思います。
2 睡眠:肌の新陳代謝を促す成長ホルモンをたくさん分泌させるためには、早寝・早起きで6.5時間から8時間の睡眠が良いとされています。
3 運動:運動は脂肪を燃やして新陳代謝を促します。筋肉をつけることによりリンパの流れも改善します。健康や若さのためにはヨガやウォーキングなどの軽い運動を続けることをお勧めします。
4 ストレスケア:ストレスは肌の働きを調節する自律神経、内分泌、免疫系に影響します。親しい友人とおしゃべりしたり、動物とふれあったり、よく笑ったりすることで上手にストレスを改善しましょう。
STEP2(予防ケア)
1 洗顔:肌には自浄作用(自分自身の肌に元々あるもの)があり肌の潤いは毛穴から分泌される皮脂、セラミドなどの角質細胞間脂質、アミノ酸・乳酸・ヒアルロン酸などの天然保湿因子によって保たれています。洗顔のポイントは、これらの保湿成分を守りながらぬるま湯でこすらず、丁寧に泡洗顔で不要な汚れだけを落とすことです。
2 保湿:乾燥すると肌は小じわが目立ち、弾力が無くなり肌あれを起こしやすくなります。もちろんお化粧のノリも悪くなります。保湿のポイントは、まず化粧水で保水をし、保湿クリームで皮膚に蓋をするようにします。化粧水は、セラミド、ヒアルロン酸などその成分自体が保水力の高いヒューメクタントを配合したものを使用し、保湿クリームは、水分を逃さないエモリエントを配合したものを選びましょう。
3 紫外線ケア:日焼けをすると肌が赤くなり皮膚がんやしみの原因となる紫外線B波と、B波よりも波長が長く肌の奥まで届き、しわの原因になるA波があります。紫外線ケアはこのB波とA波を防ぐことが大切です。
日焼け止めは、日常では、「SPF20~30 PA++」レジャーでは、「SPF50 PA+++~++++」程度のものを使用すると良いと思います。
STEP3(積極的ケア)
1 ケミカルピーリング:角質をマイルドな酸を使って取り除く方法です。毛穴のつまりが取れてニキビの治療にも有効です。また、新陳代謝が促進されることで色素沈着やくすみの改善にもなります。お化粧のノリも良くなります。
2 フォトブライトフェイシャル:広波長の光治療器で、顔全体に照射することができ、しみや小じわ、毛穴の開きを改善します。施術後すぐにお化粧することができ、ダウンタイムが無いのが利点です。
3 炭酸ガスレーザー:良性の色素性母斑(黒子)や老人性のイボなどを治療することができます。レーザー照射後1週間ほどで上皮化し、2ヶ月から数か月でほぼ目立たなくなります。
4 フラクショナルQスイッチルビーレーザー: 弱いパワーで細く照射することでメラノサイトを刺激せずに肝斑などのしみを薄くします。
5 Qスイッチルビーレーザー:メラニンに吸光度の高いレーザーでしみをダイレクトに治療します。通常、1週間ほどでかさぶたが脱落して色調が徐々に改善していきます。
6 サーマクール:ラジオ波を使い真皮までしっかりと温めることにより即時的な皮膚の引き上げ効果が可能です。また、施術直後から3ヶ月間にコラーゲン繊維が増殖するのでしわ、たるみを改善します。
7 ボトックス:神経末端でのアセチルコリンの分泌を阻害し、筋肉をリラックスさせしわを改善します。継続することによりしわの予防にもなります。その他、顔やせ、多汗症、脚やせにも適応しています。
8 ヒアルロン酸:柔らかく滑らかな製剤を真皮内や皮下に注入し、しわやたるみを改善します。顔の輪郭や鼻、あご、額などの形成にも用いられています。
9 プラセンタ注射:胎盤から抽出されたエキスで細胞刺激因子を豊富に含んでおり、肌質改善、保水力アップ、アレルギーや更年期の症状などを緩和する効果があります。
以上、今までもこれからも市民の皆様の美肌作りに少しでもお役に立てたらうれしいです。



司会(仲先生)

今日はお二人の先生にお話をしていただきましたが、この講演会を通じて、皆様が皮膚についての正しい知識を少しでも多くお持ちいただけたものと思います。
そして、皮膚の老化、しみやしわ、皮膚がんを防ぐために重要なのは何といっても「普段のスキンケア」だということがわかっていただけたと思います。具体的には、外出するときにはサンスクリーンのクリームを塗ったり、日傘をさしたりすること、また保湿剤はお風呂上がりの、体にまだ湿り気が残っているうちに塗ること、などですが、いずれもごく当たり前のことです。でも、この当たり前のことほど続けるのは意外と難しいですよね。ですから、日ごろからこういったことを意識して過ごすことが大切だと思います。


スキンケア製品の展示と説明

講演の合間の休憩時間には協賛企業のスタッフからスキンケア製品の展示と説明があり、来場者の方は熱心に聞き入っていました。また、業者の方にとっても一般の方と話をする機会が持てて大変有意義だったとのことです。

また、講演後にはスキンケア製品の豪華なお土産をお持ち帰りいただきました。

来場者の皆様も満足して帰途につかれました。

このページのトップへ