埼玉県皮膚科医会

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2010年「皮膚の日」 市民公開講座のご報告

しみ・しわと皮膚がん ~気楽に皮膚科へ行こう~

皆様、「皮膚の日」という日があることをご存知でしょうか?「皮膚の日」は11月12日ですが、1112 “いいひーふー”で「皮膚の日」なんです。「皮膚の日」は、皆様に皮膚の健康と皮膚病について、広く正しく知ってもらおうということで1989年に制定されたのです。毎年この時期には全国各地で、一般の方々を対象に講演会や相談会が多数開催されています。埼玉県も遅ればせながら、今年から企画させていただきました。記念すべき第1回は去る11月7日(日)、秋晴れの中、埼玉県県民健康センター(さいたま市浦和区)で開催されました。

皮膚のトラブル相談コーナー

講演に先立ちまして、「皮膚のトラブル相談コーナー」が設けられ、10名の皮膚科医がご来場の皆様の皮膚に関する疑問や質問を受けました。ひとりひとり仕切られた特設ブースで、皮膚科医に、日頃の皮膚に関する悩みを相談されている様子でした。

「開会の挨拶」

埼玉県皮膚科医会会長・仲皮フ科クリニック院長 仲 弥 先生

埼玉県皮膚科医会会長・仲皮フ科クリニック院長 仲 弥 先生皮膚のトラブルを防ぐためにはスキンケアが必要ですが、このスキンケアの基本は「乾燥に対するケア」と「紫外線に対するケア」にあります。つまり、肌の潤いを保つこと。そして、紫外線刺激から肌を守ること。この二本柱が基本です。紫外線を浴びすぎますとシミやシワだけでなく、皮膚がんの原因にもなりますので、適切な防御とスキンケアを行う必要があります。今日は特に紫外線の皮膚に対する影響について3人の先生方からみなさまのお役に立つ話が色々と聞けると思います。ぜひ日常のスキンケアの参考にして下さい。そして、今日の講演会を通じて、皆様が皮膚に関する正しい知識をお持ちいただければと考えております。

「子どもを紫外線から守るためには?」

埼玉医大総合医療センター 皮膚科 佐藤良博先生

埼玉医大総合医療センター 皮膚科 佐藤良博先生紫外線はヒトにビタミンDの合成をもたらす様な良い影響ばかりでなく、日焼けの後にシミ・シワ、皮膚がんなどの有害な作用をももたらすことが近年指摘されています。紫外線にはA波とB波がありますが、幼小児のとくに10歳未満の頃からこれらの紫外線にあたる機会が多く、過度の日焼けを繰り返すと慢性的な有害事象を生じるとされています。このため幼小児の頃から紫外線対策が必要ですが、日焼け止めを上手に使うことが子供たちを紫外線から守るために重要です。具体的には日常生活ではPA+、SPF10程度、屋外のレジャー等にはPA++、SPF20程度、炎天下のレジャーや屋外の遊泳にはPA+++、SPF30程度のものを選択すべきです。日焼け止めはプールの水質には影響しないので2)、学校の水泳にも使用可能です。紫外線の有害な影響を十分に認識し、子供たちを紫外線からかしこく守れるようになれば幸いです。

「皮膚がん」

自治医大さいたま医療センター 皮膚科教授 出光俊郎先生

自治医大さいたま医療センター 皮膚科教授 出光俊郎先生皮膚科はしみ・しわの美容も守備範囲ですが、皮膚がんの手術もします。日光との関連の深い日光角化症は前がん状態と考えられます。皮膚がんは早期発見、早期治療のできるがんです。最初の診断と検査、治療が一番大切です。心配な人は皮膚科に行って診てもらいましょう。

★皮膚がんには次のような特徴があります。

1)皮膚がんにもいろいろな種類がある。
2)皮膚がんの悪性度はさまざまである。(ちょい悪から極悪まで)
3)一見、がんにみえない皮膚癌もある。(しみやいぼ、ほくろ、湿疹と間違う)
4)皮膚がんは早期発見が可能である。(目に見えますから)

★皮膚がんにも次のような種類があります。

1)日光角化症((顔面、手背、前腕の湿疹と間違いやすい皮膚癌)
2)有棘細胞がん・瘢痕癌(いぼや潰瘍などがみられる。昔のやけどの痕にできる。
3)基底細胞がん(ほくろに間違える頻度の多い皮膚癌)
4)悪性黒色腫メラノーマ(しみとまちがってレーザーをすると命取りになるがん)
5)陰部パジェット病(ただれがみられ、湿疹と間違いやすい皮膚がん)
6)皮膚悪性リンパ腫(アトピー性皮膚炎とも間違いやすい皮膚がん)
7)血管肉腫(頭にうちみのようなアザができる高齢者のがん)
8)内臓がんの皮膚転移

★皮膚がんを疑う症状は次のようなものです

1)真っ黒い斑点が足の裏にある。→メラノーマの可能性がある。
2)最近大きくなってきたシミがある。→メラノーマの可能性がある。
3)顔のほくろがちょっとくずれて出血してきた。→基底細胞がんの可能性がある。
4)昔のやけどのあとがただれてきた。→熱傷瘢痕がんの可能性がある。
5)あたまに治らない青あざができた。血管肉腫の可能性がある。
6)陰部やおしりのただれが治らない。→パジェット病の可能性がある。
7)爪に黒い色素斑がでてきた。→爪の下のメラノーマの可能性がある。

皮膚がんの多くは早期に治療すれば、治ります。心配はいりませんから、ちょっと変だなと思ったら「ただの湿疹」と決め付けずに皮膚科にいきましょう。どうぞ気楽に皮膚科へ!!

「しみ・しわとスキンケア」

埼玉医大総合医療センター 皮膚科准教授 寺木祐一先生

埼玉医大総合医療センター 皮膚科准教授 寺木祐一先生近年の美容医学の進歩により、従来は難しかったしわやしみの治療も可能となり、人々のしわ・しみに対する関心はますます高くなっています。しわの発生は主に真皮の膠原線維や弾性線維の減少・変性、ヒアルロン酸などの基質の減少に起因します。一方、しみの発生はいくつかの病態に分けられますが、メラノサイトの機能亢進による肝斑、真皮メラノサイトーシスである両側性遅発性太田母斑様色素斑、ケラチノサイトの老化に起因する老人性色素斑などがあります。しわや老人性色素斑の発生は加齢による影響よりも、むしろ長年の日光暴露による光老化が与える影響の方がはるかに大きいのです。そのため、しわ・しみのスキンケアとしては、若い頃からサンスクリーンなどによる紫外線ケアがとりわけ重要です。治療に際しては、しみにも色々あるため、皮膚専門医による確な診断のもとに行われるべきです。


司会(仲先生)

今日はしみ・しわ、皮膚がんと紫外線の影響について3人の先生方にお話をしていただきましたが、この講演会を通じて、皆様が皮膚についての正しい知識を少しでも多くお持ちいただけたものと思います。

先程のお話にもございましたようにシミやシワには様々な種類がありまして、それぞれ治療法も異なります。また皮膚がんにもいろいろあり、紛らわしい病気もたくさんあります。ですから、まずは皮膚科医による正しい診断を受ける必要があります。そのためにも、皮膚の病気が少しでも気になりましたら、皮膚科専門医に相談していただきたいと思います。

スキンケア製品の展示と説明

講演の合間の休憩時間には協賛企業のスタッフからスキンケア製品の展示と説明があり、来場者の方も熱心に聞き入っていました。

また、講演後にはスキンケア製品の豪華なお土産をお持ち帰りいただきました。
来場者の皆様も満足して帰途につかれました。

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