埼玉県皮膚科医会

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2020年「皮膚の日」市民公開講座(WEB開催)のご報告

コロナに負けるな‼ スキンケア

例年さいたま市内で行っていた市民公開講座ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年はWeb開催になり、お二人の先生方に予めご講演いただいた動画を11月1日~30日にYouTubeで配信しました。中捨先生には「新型コロナ時代の皮膚科診療」というテーマで、また常深先生には「かゆみを防ぐー薬の種類とスキンケア」というテーマで講演をしていただき、たくさんの方にご視聴いただけましたこと、本当にありがとうございました。
 「皮膚に痒いブツブツ。これって、アレルギー!?  -湿疹の原因のいろいろ-」

「新型コロナ時代の皮膚科診療」

国立病院機構埼玉病院皮膚科医長 中捨克輝先生

 新型コロナウイルスは王冠(コロナ)の形状をしたRNAウイルスであり、変異しやすい特徴を持っています。普通の風邪としても流行するコロナウイルスが変異し感染力、毒性が強い新型となって流行しています。
コロナの流行により皮膚科も春ごろには患者さんの受診が減りましたが、現在は十分な感染対策をしながら、ほぼ従来どおりの診療が行われています。新型コロナウイルス感染症の患者さんの約20%に皮膚の症状があり、しもやけのような発疹のほか、様々な発疹が出ると報告されています。
感染対策としては、すでに広く言われているソーシャル・ディスタンス、マスクの徹底(ユニバーサル・マスキング)、手洗いまたはアルコールによる手指消毒、屋内の換気、風邪症状のときの自宅休養、人が触るところの拭き取りなどです。空間除菌や首下げ型除菌剤は推奨されません。感染リスクを高める場面として 1 : 飲み会、2 : 大人数、長時間の会食、3 : 会話、4 : 仕事後や休憩時間、5 : 集団生活、6 : 室内での激しい運動、7 : 屋外での活動の前後をご紹介しました。
手洗い、手指消毒は正しく行うことが重要です。とくに手指消毒は巷で見かける一般の方々の多くが正しく出来ておらず、正しい方法を説明した動画のご紹介をしました。また手の衛生管理には手荒れがつきものなので、手荒れも感染リスクになること、保湿は油分が多すぎても次の手洗いが不十分になりやすいので時と場合に適したものを使用し、手袋も活用しましょう。
皮膚科を受診するときの感染予防ですが、熱、風邪症状の時は受診を控えること、ただし発疹を伴うときは受診してよいか確認すること、必ずマスクを着用すること、待合室では適切な距離を取り、会話は極力控えること、暴れたり大声で泣く子どもは「密」になりやすいこと、顔の診察、施術の時は医師の指示に従ってマスクを外すこと、診察前後の手洗い・消毒を徹底することに注意して下さい。
マスクによる肌荒れ、ニキビの悪化も増えています。マスクの中、周囲が蒸れたり、すれることが原因ですが、対策としては顔に合ったマスクを使うこと、まめに水洗顔をしたり保湿をすること、同じマスクを長時間使わず交代して使うことをご紹介いたしました。
皮膚科医一同、十分配慮をしながらみなさまのお役に立てることを願っています。いつもの受診のときも、手荒れ、マスク荒れになってしまったときもぜひ、皮膚科を上手に利用して下さい。

「冬のかゆみを防ぐ保湿とスキンケア」

埼玉医科大学皮膚科教授 常深祐一郎先生

 皮膚において角層がバリアとして水分を保持する重要な役割を担っています。角層は体内から水分が抜けないようにするとともに、外から異物が入らないようにする機能を有しています。角層が乾燥するとこの機能が低下し、外から刺激が加わり、内側から大切な水分が抜け出てしまい、皮膚に炎症が起こり、痒みを生じます。乾燥肌(皮脂欠乏症、乾皮症)は、角層中の水分量が低下することによって、鱗屑(カサカサ)を生じ、バリア機能が低下してかゆみを生じる疾患で、年齢とともに増えていきます。皮脂欠乏症は掻破することにより更に角層が壊れ、湿疹化が進み、痒みが強くなります。
皮脂欠乏症を予防し治療するのが保湿剤です。保湿剤には様々な種類や剤形がありますが、最も大切なのは塗布量です。適切な塗布量の目安としてFTU(Finger-Tip Unit)という指標があり、人差し指の指先から第一関節まで薬を太めに押し出し(これを1FTUと呼び、約0.5gあります)、この量を手 2 枚分以上に広げないということが大切です。そうするとややべたつき、てかてかするくらいになり、これがちょうどよいのです。ローションやクリームは伸びが良いため薄く塗る傾向にあるので注意します。塗り方は、擦り込まず、サッと一往復するくらいがよいです。
保湿剤にはいろいろな種類があります。ワセリンは皮脂と同じ役割で被膜を形成することにより水分の蒸発を防ぎます。尿素は水分を増やす作用を有しますが、角質を剥離する作用も有しているためやや刺激があります。ヘパリン類似物質は親水基(水を引き寄せる部分)を多く有するため水分を保つだけでなく、空気中の水分を取り込み、水分量を増加させる作用が高いです。刺激も少ないです。よく用いられる所以です。セラミドはバリアに重要な角質細胞間脂質の 1 つです。天然のセラミドは高価ですので人工の疑似セラミドが化粧品や市販薬の保湿剤などに使われています。
外用薬には剤形があります。軟膏はべたつきますが、刺激が少なく被覆性にも優れ、すぐには落ちないです。多少びらん(傷)があるところに塗布しても刺激はありません。ローションはサラサラし、塗り心地は良いですが、びらんなどに塗ると刺激が出ることがあります。クリームは大きく 2 種類あります。通常、クリームは水の中に油滴が分散している「水中油型」製剤です。特徴として、少し被覆性が低く、少し刺激もありますが、べたつきは少ないです。一方、油の中に水滴が分散している「油中水型」製剤は被覆性が高く、軟膏ほどべたつかず、刺激は普通のクリームに比べ少ないという特徴があります。保湿剤を使う部位は、掻破痕や湿疹を合併していることが多いため刺激性や被覆性を考慮して選択するとよいでしょう。
外用薬は、容器やチューブの大きさによって外用行動が大きく変化します。小さなチューブだと少量ずつ塗りがちですが、大容量の容器だと自然と出す量も多くなり、十分量を塗れます。処方薬も市販薬も大きな容器がよいです。ただし、外出時の持ち歩きように小さめのチューブも持っておくと便利です。
皮脂欠乏症は予防が大切であり、継続して保湿するためには、保湿剤は容易に入手できた方がよいです。また、保険処方には量の限度があり不足することもあります。このような場合には市販薬を活用しましょう。最近の市販薬の製品は保湿力が高いものも多く、剤形が豊富で、ボトルも大きく、どこでもいつでも買えるので便利です。
入浴習慣も見直してみる必要があります。石けんなど洗浄料を良く泡立て、手のひらを使い泡で撫でるように洗います。タオルやスポンジなどでごしごし擦ると角層を痛めてしまいます。熱いお湯は皮膚の保湿成分を溶かし出してしまうだけでなく、かゆみの神経を活性化するため、あとでとてもかゆくなります。熱いお湯は避け、長湯もしない方がよいです。


ご視聴いただいた皆様方、本当にありがとうございました。

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