ロドデノール含有美白用化粧品による皮膚障害 - いち皮膚科医の立場からちょっぴり解説
美白剤とは?
「美白剤」という言葉は定義が曖昧で、一般には「紫外線などによるメラニンの沈着を防ぐ効果のある成分」を示します。
医薬部外品として化粧水などに使用が許されているものは限られていましたが、日本における1990以降の美白ブームをきっかけに研究競争・新成分認可が続きました。ロドデノールはその一つで、2008年に認可されています。
自主回収の騒動について
詳細は述べませんが、2013年7月4日に商品の自主回収が発表されました。我々皮膚科医にとっても寝耳に水の出来事でしたが、7月17日には日本皮膚科学会に特別委員会が立ち上がり、統一した対応が患者さんにとれるようになっています。
皮膚障害の症状
使用していた部位にまだらの色むらが出来ることが基本の症状ですが、掻痒や紅斑を伴うこともあり、その程度はまちまちのようです。臨床に個人差があることからどのような機序で生じたのかの推測が難しく、今後慎重に検討され解明されていくと予想されます。
実際に皮膚症状を生じた方が気になるのは、治るのか否かという点でしょう。私が拝見した例では、使用中止2週間でまず掻痒・紅斑の軽快があり、3ヶ月で色むらもかなり軽快、ほぼ1年で化粧すれば全くわからない程度に回復しました。日本皮膚科学会のホームページによると中止後6ヶ月以上の経過で50名中29名(58%)は軽快・治癒となっておりますし、私の周囲のDr.の話を聞いてもおおむね使用中止で軽快傾向になるようです。
診療はどこでできるのか?
無難な治療・当該化粧品の使用中止後の観察は近くの皮膚科に相談で問題ありません。ただ、それ以上の検索や治療に対応ができるのは、平成25年10月現在、日本皮膚科学会ホームページに掲載されている診療可能施設http://www.dermatol.or.jp/upfile/1381371991_5.pdfが中心になっています。

初診時:不整の白斑に掻痒・発赤も混じる

2週後:紅斑と掻痒が軽快

3ヶ月後:色のむらも軽快してきた
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