埼玉県皮膚科医会

文字の大きさ

食物アレルギー - スキンケアでアレルギーを予防する

食物アレルギー
スキンケアでアレルギーを予防する

自治医科大学附属さいたま医療センター皮膚科医局長 梅本尚可先生

 

これって食物アレルギー?

食物アレルギーと聞いて多くの人が思い浮かべる卵や牛乳のアレルギーは、小学生になるころにはほとんど消失します。大人の食物アレルギーの原因で最も多いのはカニ、エビなどの甲殻類、次いで小麦、果物です。食物アレルギーは原因食物も症状も多彩です。大人では普段は食べても症状の出現しない食物の中に原因が潜むことが多く、食物アレルギーと気付かないことさえあります。食後3時間以内に急激に出現する蕁麻疹、瞼や口唇の腫れ、咳や息苦しさは食物アレルギーを疑います。そのとき食べたもの全てを記録して受診して下さい。

皮膚からはじまる食物アレルギー

食物アレルギーは卵、牛乳などアレルギーをおこしやすい物を食べることからはじまると考えられていました。そのため乳児期から食事を制限してアレルギーを防ぐ試みが長い間行なわれてきました。しかし、厳格な食事制限も食物アレルギー発症の予防にはなりませんでした。 2000年代になって食べることより、食物の皮膚への接触がアレルギー獲得に大きく関わっているとわかってきました。ピーナッツオイル入りクリームを塗ってピーナッツアレルギーになる人、キュウリパックをしてキュウリアレルギーになる人、魚を調理して魚アレルギーになる人もいます。

湿疹,乾燥肌がアレルギー発症のリスクを高める

食物に触れているうちに食物アレルギーになった人達には、湿疹、乾燥肌などの症状をもつ人が大勢いました。湿疹、乾燥肌は、皮膚の最外層にある角層のバリア機能を著しく低下させ、皮膚からアレルギーを獲得させやすくします。湿疹を治し、乾燥肌を保湿して角質に十分水を含ませることは、角層バリア機能を強化しアレルギーの発症を予防します。

「潤いのある皮膚」がアレルギーを防ぐ

スキンケアの目標は「美しい皮膚」すなわち「潤いのある皮膚」です。「潤いのある皮膚」を保つスキンケアの基本は、皮膚を痛めないように洗浄したあと、保湿剤を外用することです。保湿剤は水または湯を使うたびに塗ると理想的です。スキンケア製品には食物成分を含有した石鹸や保湿剤、化粧品が多数流通しています。その中には効果の高いものもありますが、反面、食物成分を皮膚に繰り返し付着させることで食物アレルギー発症リスクが高まります。スキンケアで「潤いのある皮膚」を目指しましょう。「潤いのある皮膚」は見た目に美しいだけでなく、アレルギー発症の砦なのです。

 

他の記事

  • あざ  - ぜひ専門医をお訪ねください (埼玉病院・中捨克輝)
  • アトピー性皮膚炎  - 適切な治療でよい状態を保ちましょう (埼玉医大・中村晃一郎)
  • 異汗性湿疹  - 「ニセ水虫」にご注意 (仲皮フ科・仲 弥)
  • いぼ  - 放置すると増えます。早めに治しましょう (さくら皮フ科・横井 清)
  • うおのめ  - 頑固なうおのめは合わない靴が原因? (井上皮フ科・井上 靖)
  • 疥癬(かいせん)  - 激しい痒み。ヒトから感染したダニが原因かも・・ (埼玉医大・寺木祐一)
  • 円形脱毛症  - 根気強い治療で発毛を待ちましょう (獨協医大・片桐一元)
  • 陥入爪・巻爪・ひょう疽  - 爪の切りすぎに注意 (スマイル皮膚科・倉片長門)
  • かぶれ  - 皮膚科で原因を見つけるのが早道 (中井皮膚科・小森一哉)
  • 金属アレルギー  - アクセサリーを安全に着けるには(済生会川口総合病院・高山かおる)
  • 乾癬  - 新しい治療法もあります (埼玉医大・土田哲也)
  • 乾燥肌  - みずみずしい素肌を保つには (島田医院・坪井るみ子)
  • ケロイド  - 傷あとが盛り上がっていませんか (大島皮ふ科・形成外科・大島康成)
  • 毛虫皮膚炎  - ツバキやサザンカに触れませんでしたか (埼玉医大・寺木祐一)
  • 口唇炎・口角炎  - いろいろな原因で起こります (奥野皮膚科・奥野哲朗)
  • しいたけ皮膚炎  - 夏のバーベキューにご注意 (自治医大・出光俊郎)
  • 紫斑  - 内臓の異常が見つかることも (春日部ヒフ科・矢島 純)
  • しみ  - しみにもいろいろあります (多恵皮ふ科・井上多恵)
  • 湿疹  - 皮膚科医はこんなことを考えて治療しています (獨協医大・片桐一元)
  • 食物アレルギー  - スキンケアでアレルギーを予防する (自治医大・梅本尚可)
  • しもやけ  - 手足が赤紫色に・・、それはしもやけです (神崎皮フ科・神崎俊一)
  • 蕁麻疹(じんましん)  - あとかたもなく消える、かゆいボツボツ (あきもと皮フ科クリニック・秋元幸子)
  • 掌蹠膿疱症  - 手足に黄色いブツブツを繰り返します(さいたま市立病院・齋藤 京)
  • 水痘  - 抗ウィルス薬の内服で軽く済みます (大城胃腸科外科・大城晶子)
  • 多汗症  - 手の汗で困っていませんか? (防衛医大・佐藤貴浩)
  • 多形滲出性紅斑  - 重症の場合は生命に関わることも (本町診療所・伊崎誠一)
  • 皮膚がん  - 皮膚がんにもいろいろあります (埼玉医大・山本明史)
  • なめまわし皮膚炎  - 皮膚の保湿が大切です (埼玉医大・人見勝博)
  • 帯状疱疹  - 早い治療が重要です(永井皮膚科・永井 寛)
  • 単純ヘルペス  - 抗ウィルス内服薬が有効です (石塚医院・石塚敦子)
  • 爪水虫  - 頑固な爪水虫も内服治療で治ります (田沼皮膚科・田沼弘之)
  • 爪の病気  - 爪の色の変化が出てきたら専門医への受診を(埼玉医大・中村泰大)
  • 手足口病  - わかりやすい皮膚病 (自治医大・出光俊郎)
  • デルマドローム  - 皮膚は内臓の鏡です (本町診療所・伊崎誠一)
  • 床ずれ  - 在宅診療もしています (おうえんポリ・並里まさ子)
  • とびひ  - うつってひろがります。早めに皮膚科へ (今泉皮ふ科・今泉俊資)
  • ニキビ  - 素人療法をしていませんか? (埼玉医大・寺木祐一)
  • 白斑  - 根気強い治療で改善が望めます (町野皮ふ科・町野 哲)
  • 皮脂欠乏性湿疹  - 冬のかさかさの対処法は? (本町診療所・伊崎誠一)
  • 皮膚カンジダ症  - 病気が潜んでいませんか? (加藤卓朗)
  • フケ症  - 脂漏性皮膚炎はありふれた病気です (仲皮フ科・仲 弥)
  • 風疹  - 流行していますので妊婦さんは注意! (防衛医大・藤本典宏)
  • 粉瘤・脂肪腫  - 「脂肪のかたまり」ってよく呼ばれますけど実は… (松本皮膚科形成外科・松本吉郎)
  • ほくろ・メラノーマ  - ほくろのガンに注意 (さいたま市立・齋藤 京)
  • みずいぼ  - うつる病気です。早めに摘除しましょう (長村皮膚科・長村洋三)
  • 水虫  - 素人療法はけがのモト (仲皮フ科・仲 弥)
  • 虫さされ  - ボリボリ掻いていませんか? (いしだ皮フ科・石田 卓)
  • やけど  - 素人療法は禁物。皮膚科での早い対応を (多恵皮ふ科・井上多恵)
  • 薬疹  - 疑わしい薬を早く中止することが重要 (みどり皮ふ科・佐藤良博)
  • 毛孔性苔癬  - 上腕がザラザラしていませんか (防衛医大学・多島新吾)
  • りんご病(伝染性紅斑)  - 大人のリンゴ病はリウマチと間違われることも (埼玉医大・寺木祐一)
  • 老人性いぼ・稗粒腫  - 気になるようなら摘除します (久保皮膚科・久保和夫)
このページのトップへ